いびきと睡眠時無呼吸症候群の歯科的治療について


 

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome :SAS)とは:
  
 SASは1976年にアメリカの精神科医Dr.ギルミノーによって命名された昼間傾眠と不眠を主徴とする疾患で、現在の定義では、睡眠中頻繁に(1時間に5回以上)断続的な無呼吸(10秒以上続く呼吸停止)がおこり、その結果 、日中の眠気や注意力散漫などいろいろな症状を呈する疾患であるとされております。
 SASは近年、居眠り運転事故などでマスコミにも取り上げられ社会問題となっておりますが、その多くは、睡眠中、息を吸うときに気道(空気の通 り道)の壁が吸い寄せられて閉じてしまい、息をしようとしてはいるが吸えない状態になる、閉塞型(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:OSAS)と呼ばれるものであります。
睡眠中いったん閉塞型無呼吸がおきると、人間の生命維持機能が働いて息をしようとする中枢神経の反応が起き、呼吸を再開するまでの間は実質的な睡眠からの覚醒現象がみられるため、普段十分睡眠をとっているようでも実際は睡眠不足状態になり、本人の意思にかかわらない日中の傾眠が生じます。
 SASはいびきをかく人や肥満者などに多くみられ、SASのほぼ100%の人がいびきをかくと言われております。
日本人のいびきを習慣的にかいている人は2000万人以上いると言われており、そのうちの約10%の200万人がSASに罹患していると考えられております。
 閉塞型無呼吸によって睡眠中に窒息死することはありませんが、長期にわたりSASが続くと睡眠中の酸素不足状態により循環機能に負担がかかるため、高血圧、心臓病、糖尿病、脳血管障害などを引き起こすことがわかっており、SASに対しては早い目の治療が推奨されております。
 
SASの診断:  
 大学病院や睡眠治療を行っている施設で終夜睡眠ポリグラフィー検査を受け、脳波・眼球運電図・筋電図・呼吸活動・血中酸素濃度・いびきの音などを夜間記録することによりSASの確定的かつ精密な診断がなされます。

   終夜睡眠ポリグラフィー検査

 家族からいびきおよび習慣的に睡眠中に呼吸が止まることがあることを指摘される、朝起きたときに頭が重い、昼間にひどい眠気を覚える、集中力がなくなる、夜間2回以上排尿に起きる、肥満があるなどの症状がある方はSASが疑われますので検査をお勧めします。
 また下の簡単な睡眠障害チェック表でご自分の合計点数が11点以上の方は検査をお受けになることを、そして重症と判定された方はできるだけ早く治療を開始されることをお勧めいたします。

座って読書をしているとき 0 1 2 3
テレビを見ているとき 0 1 2 3
会議をしているとき 0 1 2 3
車に乗せてもらっているとき 0 1 2 3
午後、横になって休息しているとき 0 1 2 3
座って誰かと話をしているとき 0 1 2 3
昼食後、静かに座っているとき 0 1 2 3
自動車を運転中、交通 渋滞で2〜3分止まったとき 0 1 2 3

:全く眠くならない   :時々眠くなる
:2回に1回は眠くなる :ほとんどの場合眠くなる

正常:10点以下 軽度:11〜12点 中等度:13〜15点
重症:16点以上

▼スリープスプリント


SASの治療:
 SASの治療とは、原因となっている気道の閉塞をなくすこと、すなわちいびきをなくすことで、主な治療法は、右写真のようにCPAP(シーパップ)と呼ばれる鼻から空気を送り込む装置を使って空気圧で気道を広げておく方法、扁桃腺や軟口蓋の肥大した部分を外科的に切除する方法、薬物療法、そして歯科的治療(後述)があげられます。
 その他、肥満に対する減量や枕を低くする、横向きに眠る、就寝前のアルコールをやめるなど生活習慣を変えることも大切です。
 SASに対する歯科的治療法とは、寝ている間に
お口の中に上の写真のような「スリープスプリント(Sleep Splint:SS)」(埼玉県越谷市中川歯科医院 中川健三先生考案)と呼ばれるマウスピース装置を入れ、右図のように下顎を少し前方に突き出させることにより睡眠中に落ち込んだ舌を持ち上げて気道を広げる方法が取られます。
 本来SASは耳鼻咽喉科、呼吸器科、精神科、循環器科、歯科などの協力によるチーム医療を必要としますが、合併症をおこしていない軽度から中等度のもので適応症が合う方に対しては、このSSが数多くの症例で良い結果 をもたらしております。
 SSは他の治療方法と比較して簡便で安価、また携帯性にも優れておりますので、まずは最初にお試しになるのが良いのではないでしょうか。
 現在CPAPで治療中の方も、旅行に行くなどの際には携帯性に優れているSSをお勧めします。
 またSASの前段階の習慣性いびき症(Habitual Snoring:HS)の方、普段いびきにお悩みの方もお気軽にどうぞ。
ただし、18歳以下の方、寝つきの悪い方、鼻閉・扁桃肥大がある方、顎関節の動きが少ない方、歯が無い方などは使用できません。
その他適応症について詳しくはお問い合わせください。



 作製費用:平成16年4月から新しく保険導入されました。
      詳しくはお問い合わせください。

■Q&A等、詳しくは埼玉県越谷市 中川歯科医院HPへリンク
■いびき・無呼吸ネット

SSを装着しても口を閉じて寝ることができずいびきが治らない方には、口輪筋(お口の周りの筋肉)のトレーニング器具パタカラの併用をお勧めしております。
 ※パタカラホームページへリンク