まずは、患者さまのご要望をしっかりお聞きします。
口腔内写真、CT・レントゲン写真、お口の模型など、診断に必要な資料を採らせていただきます。
歯周病が進んでいる方には必要に応じて口腔内細菌検査や歯周組織検査、歯石の除去、歯みがき指導などを行います。
また、喫煙される方には禁煙、減煙指導をさせていただきます。
診断結果を踏まえ、治療計画をいくつか提案させていただきます。
簡単な症例ではその日に、難しい症例では診断に数日かかることもあります。
インフォームド・コンセント(説明と同意)に充分時間をかけ、治療内容や費用などで分からないこと、不安なことは納得がいくまでご説明し患者さまにとってベストの治療方法を選んでいただきます。
治療計画が決まりましたら同意書にサインをいただき、治療開始となります。その後、ご都合の良い手術日を決定します。手術前日はゆっくりと睡眠を取って手術に備えてください。
出きる限り締めつけのない、ゆったりとした服装でお越しください。
女性の方は術中の異常を発見しやすくするために口紅は落として手術室にお入りください。
手術室のチェアーにおかけいただいたら術中の血圧、脈拍数、血中酸素飽和度(SpO2)をモニタする装置を付けさせていただきます。
術前の計測をし、異常がなければ手術開始です。
局所麻酔をして歯肉を切開、顎の骨にインプラントを埋め込んで歯肉を元通りに縫合して手術終了です。
当院では歯肉の状態、骨の状態に問題が無ければ通常1回法で行い、時間は簡単な1本だけでしたら15~20分程度です。術後は抗生剤、鎮痛剤を処方させていただきますので指示に従って服用してください。
手術当日は激しい運動やお酒、お風呂(シャワー程度はOK)は控えていただきます。
翌日に来院可能でしたら念のために傷のチェックと消毒をさせていただきます。通常1週間後に抜糸します。
その後、歯みがき指導や必要に応じてむし歯の治療などを行います。
インプラントと骨がくっつくのに通常2~3ヶ月かかりますが、1回法の場合はペリオテストという機器でくっつき具合を計測し、くっつきが確認されたらアバットメントを装着し本歯を作製して行きます。
2回法を選択した場合には、約3ヶ月後に粘膜を開けてインプラントにアバットメントを取り付ける2次手術を行います。
また既成アバットメントで対応できない場合にはアバットメント用の型を取り、カスタムアバットメントを作製し装着します。
アバットメント装着後は仮歯を付けて咬める状態にします。
仮歯を調整しながら、歯の形などをチェックして行きます。
★インプラント埋入時のISQ値が70以上で骨とのくっつきが強固と診断された場合は埋入と同時に仮歯を装着します。
2次手術の傷が治癒したら本歯用の型を採り、本歯を作製し装着します。
当院では原則的に本歯装着には仮着セメントを使用し、本歯の破損やインプラント周囲に炎症が起こった際にはいつでも取り外しできるようにしております。
本歯の装着後、数回にわたって清掃状態のチェックをし、問題が無いようならば治療完了です。
歯ぎしりの強い方や咬合再構成(咬み合わせを変える治療)を行った場合は就寝時にナイトガードを使用していただきます。
治療が終わった後も、日々の手入れと定期検査を忘れずきちんと管理していきましょう!
院長が初めてインプラント手術を行ったのは1986年、当時は京セラ社のサファイア-インプラント(バイオセラム)と呼ばれるもので、写真のようにレントゲン写真上では半透明で、天然歯とつなげるのが一般的でした。
その後インプラントはチタン製ブレードタイプを経て現在のチタン製スクリュータイプになり、天然歯とつなげることはほとんどなくなりました。表面性状も各メーカーでいろいろなものが開発され、より早く強固に骨とくっつくよう、審美性が良くなるよう、長期予後が見込めるよう工夫がなされてきております。
治療のコンセプトも外科主導から補綴主導へ、そして近年は術者主導から患者さま主導へと変遷し、それに従い手術手技も、2回法よりは1回法、できるだけ抜歯と同時にインプラントを埋入する、出来るだけ既存骨内にインプラントを埋入し骨造成(GBR)は最小限にする、CT検査で骨の状態を事前にチェックし可能ならフラップを開けないようにするなど、患者さまの負担を出来るだけ少なく、治療期間もより短くなる方向へと変わってきております。もちろん当院では日々研鑽を怠ることなく信用に値すると思われる新しいテクニックは積極的に取り入れ、患者さまにより優しいインプラント治療を常に心がけております。
インプラントは各メーカーでも厳しく製品管理されており、完全滅菌した状態で出荷しておりますので、患者さまのお口の中に入るまで、滅菌状態が損なわれる心配は全くありません。もちろん、我々Dr.もインプラント1本1本を厳重にLOTナンバーで管理しており、いつ、どの患者さまにどのインプラントが埋入されたかまでも完全に把握、管理しております。どうぞご安心ください。
以下、当院のインプラント治療を紹介します。
歯を失った際、入れ歯やブリッジという治療方法もありますが、入れ歯の場合、
バネをかけた歯は食片が溜まりやすいため虫歯になる率が高く、ブリッジの場合は歯の一番堅い丈夫な
エナメル質が無くなるためにむし歯になり易くなったり、歯がしみる原因となります。しみるのを防ぐために
歯の神経の治療を行った際には歯牙破折の危険性が一気に高まり、歯を失う原因となってしまいます。
また歯というものは、負担能力以上の力がかかった場合には骨吸収が起こり歯周病が発生するため、
歯に大きな負担のかかる入れ歯やブリッジでは、治療直後は調子が良く感じても長い目で見ると歯を失う危険性は高いのです。
逆に、インプラント治療の場合、歯を全く削る必要がないのはもちろんのこと、インプラントの高い咬合負担能力は、
残っている歯の負担を軽減し長持ちさせます。
以上のことから、歯を失った際の治療法としては、残存歯に優しいインプラント治療が第一選択肢と考えられております。
さらにインプラントを維持装置として使う義歯(implant over denture)は何でも食べることができると好評をいただいております。
今や、『人生100年時代』と言われております。現在、ご高齢の方も決してあきらめることなく、快適な咬み合わせを取り戻し、快適で健康的なライフを楽しまれては如何ですか!?
治療前
歯周病により上下の歯を失った状態
CTから作製されたガイドを使用してインプラントを埋入
インプラントに土台を付けた状態
治療後
下顎は取り外ししないインプラントブリッジ、上顎は咬合力で割れる心配のない金属床を作製。
治療前
治療後
自然な口元になり若返りました。
治療前:左右下顎臼歯はムシ歯のため歯冠崩壊し、うまく咬むことができない状況。
治療後:左右下顎臼歯は保存不可能のため抜歯してインプラントを埋入し、インプラントを固定源として下顎前歯を矯正後、全体をジルコニア冠で修復。
治療前
右上4,5番、左上4番は欠損し、左上5,7番に動揺、咬合痛、骨吸収がみられ、上顎前歯は著しい咬耗のために前歯部誘導(anterior guidance)は喪失していた。
治療後
欠損部に咬合負担能力が高いインプラント治療および上顎前歯補綴処置を行うことにより咬み合わせが安定し歯周組織も安定した状態となりました。
治療前
治療前のレントゲン写真
治療後
治療後のレントゲン写真
治療前:他医院で歯周治療を受けていたものの年々歯の動揺が増し並びも悪くなり食事しにくくなり来院された。
レントゲンではほぼ全歯に中等度〜重度の歯槽骨の吸収がみられた。
矯正治療、インプラント、歯周治療の包括的治療を勧めたが、治療に数年かかるため、
全歯の抜歯、インプラント治療を選択された。
治療後:全歯を抜歯してインプラント治療(AGC)を行ったが、治療の間、残根上暫間義歯によって咬むことに困らないよう配慮した。
比較的短期間(7か月間)で審美的、機能的に満足のいく結果となった。
上顎
下顎
AGCとは、インプラントにスクリュー固定された平行性を持ったアバットメントに対してわずかなテーパーをつけた外冠を上部構造に付け、セメントを用いず茶筒の原理で維持を求める装置です。
インプラントの上部構造としてのAGCは固定式の感覚で使用できながら、チェアサイドで簡単に取り外せる設計で、メインテナンス時の負担が少なく、またアクセスホールが無いため、適切な咬合と高い審美性が実現できます。
治療前レントゲン写真
治療後
手術直後のCT。
左右上顎洞は骨補填剤によって挙上されインプラントが埋入された。
断面CT像
通常、上顎洞洞底残存骨が3mm以下の場合、頬側の骨を開けて骨補填剤を填入する術式が一般的ですが、実は、術後にかなり腫れが出ます。
当院では、残存骨の高さによらずほぼ全例、インプラント窩から骨を補填するソケットリフト法で上顎洞挙上を行い良い治療結果を得ております。
過去の国内外のデータをみると、インプラントの成功率はおよそ96~98%とされており、 つまり、25~50本に1本は、インプラントを埋入したにもかかわらず脱落してしまいます。
原因としては、骨の熱傷、治癒不全、感染、歯軋りなど過度の力がインプラントにかかった ことなどが考えられ、残念ながら、われわれ歯科医師が完璧な手術を行っても脱落は起こりうることをご理解ください。
しかしながら、インプラントは、脱落した部位の傷が治癒したら再度埋入手術ができるので、 大多数は元通りに戻すことは可能ですので心配は要りません。
治療後は清掃状態をチェックするとともにダメになった際に早期発見できるよう、定期的メンテナンスを心がけましょう